立教大学観光学部の野田健太郎教授と、JTB総合研究所は、「観光産業におけるSDGsの取り組み推進に向けた組織・企業団体の状況調査」の結果をまとめ、8日に発表した。SDGsの取り組みを行っている企業の割合は28.0%で、業種別に見ると宿泊業は43.3%と全14業種の中で3位。旅行業は16.0%で最下位だった。
取り組みを行っている企業は「対応を既に行っている」と「対応を検討している」の回答の合計。全業種で、対応を既に行っている企業は15.1%、対応を検討しているのは12.9%。「SDGsは認知していない」という企業は18.5%だった。
旅行業が最も低いのは「回答した旅行業の76.5%が従業員数10人未満のため、SDGsの対応に事業リソースを割く余力が少ない」と分析する。
SDGsに取り組むとどんな効果があるか聞くと、全業種では「従業員の意識の向上」が55.8%と最も高く、「ブランド力の向上」(34.9%)、「経営方針の明確化」(28.6%)と続く。観光産業(旅行業と宿泊業)の上位3位は全業種と同じ。一方、「売り上げの増加」「収益の増加」「取引先の増加」については全業種より大幅に高く、営業活動への効果を期待していることがうかがえる。
SDGsに取り組む企業に現状の課題を聞くと、全体では「定量的な測定が難しい」が56.6%と最多で、「社内の認識が低い」(37.4%)、「必要な人材が不足している」(37.0%)と続く。SDGsへの取り組みに対して期待する支援策は、「SDGsに取り組んだ企業に対する認証、認定」が60.0%と最も多く、2番目が「SDGsに取り組む際に利用できる補助金」(55.7%)だった。
調査は、全国の企業、関連団体に昨年12月1日から今年1月14日までの間で実施。合計840の回答を得た。